Sarah Connolly(サラ コノリー)は1963年 英国生まれのメゾソプラノ
古典オペラやワーグナー、シュトラウスも歌うが、何と言っても歌曲の名手!
フランス歌曲やラモー辺りのフランバロックも歌っているが、やっぱりドイツリートでこそ真価を発揮する。
強くて、なおかつ柔軟で真っすぐな声質と、英語訛りのないドイツ語発音で中期~後期ロマン派の歌曲を見事に歌っている音源がある。
シューマン、ブラームス、マーラー、コルンゴルドといずれも非常に高い完成度だ。
まず紹介するのはブラームス Die Mainacht(五月の夜)
この曲はあまり高い音がなく、高音があまり得意じゃないメゾやバリトンが歌うイメージが個人的に強いのだが
中低音を高い響きでしっかり歌っているというところに価値がある。
Wann der silberne Mond durch die Gesträuche blinkt,
Und sein schlummerndes Licht über den Rasen streut,
Und die Nachtigall flötet,
Wandl’ ich traurig von Busch zu Busch.
Überhüllet von Laub girret ein Taubenpaar
Sein Entzücken mir vor; aber ich wende mich,
Suche dunklere Schatten,
Und die einsame Träne rinnt.
Wann, o lächelndes Bild, welches wie Morgenrot
Durch die Seele mir strahlt, find ich auf Erden dich?
Und die einsame Träne
Bebt mir heißer die Wang herab!
銀の月が潅木に光注ぎ、
そのまどろむ光の残照が芝に散りわたり、
ナイティンゲールが笛のような歌を響かせる時、
私は藪から藪へと悲しくふらつき回る。
葉に覆われて鳩のつがいが
私に陶酔の歌を鳴いて聞かせる。だが私は踵を返して
より暗い影を探し求め、
そして孤独な涙にくれるのだ。
いつになったら、おお微笑む姿よ、朝焼けのように
私の魂に輝きわたる姿よ、この世であなたを見出せるのだろうか。
すると孤独な涙が
私の頬を伝ってさらに熱く震え落ちた。
こちらがコルンゴルドの歌曲 ”Sterbelied” Lieder des Abschieds(歌曲集 別れの歌から 死の歌)
この曲は歌詞を探してみましたが、残念ながら落ちていませんでした。
やはりコルンゴルドの音楽というのは、どこかシュトラウス的な明るさをもっていますね。
それにしても、この演奏は非の打ちどころがない。
常にピアノの音楽の中で、低音~高音までしっかりコントロールされていて、
決して主張しないピアノの上を淡々と流れていく感じ。
こんな穏やかな歌があったなんてッ!
と思わせてくれる素晴らしい演奏です。
こんにちは。
BBC Radio3のWeb配信をBGM替わりによく使うのですが、今日聴いた配信のリート・コンサートのライヴ音源がとても素晴らしく、思わず名前を調べたらこの記事でご紹介のSarah Connollyでした。
https://www.bbc.co.uk/programmes/m001kpjr
冒頭から約1時間半、アンコールのハウエルズ「ダビデ王」までがライヴです。(それ以降はラジオらしくランダムな選曲になります。配信終了まであと2週間ほど。)
アルマ・マーラーを軸としたプログラムで、普段はまず自分から聴くことはない曲目ばかりなのですが、みっしりと聴き応えがありました。
>強くて、なおかつ柔軟で真っすぐな声質
と的確に評されていることに納得です。
kk様
サラ・コノリーのリートは素晴らしいですよね。
しかも紹介頂いた音源は、ジュリアス・ドレイクが伴奏ではないですか!
変幻自在なフレージングで、良い意味で音楽にまったく拍感がなくて、曲を完全に自分のものにしているという演奏。
見事としか言いようがありませんね。
リートは伴奏と歌の役割がほぼ半々と言われてますので、幾ら素晴らしい歌手でも伴奏が今一つだとその世界に没入することができないんですよね。
正にコノリーとドレイクの息が合っているからこその演奏と言えるでしょうね。
この度は大変素晴らしい演奏を紹介下さりありがとうございました。